夫婦別姓は
「夫婦別姓」は、夫婦が結婚後もそれぞれの姓を名乗ることで、本来婚姻届を提出する際には妻となる人が夫となる人の苗字を名乗ることになります。
妻側の跡取りがほしいなどの理由で、夫が妻の姓を名乗ることもありますが、この場合も夫婦同じ姓になりますよね。
夫婦別姓の場合は、夫の苗字を妻が名乗ることも妻の苗字を夫が名乗ることもありません。
お互いにこれまで使っていた苗字をそのまま使い続けていきます。
この夫婦別姓にはどんなメリットがあって、どんなデメリットがあるのでしょうか。
今回は、夫婦別姓について紹介します。
夫婦別姓にするためには
日本では現在法律により、夫婦同氏と定められいるため国際結婚の場合は夫婦別姓が認められますが、同じ日本人同士の場合は夫婦別姓が認められていません。
過去ドイツ、オーストリア、スイス、インド、タイでも夫婦別姓は認められていませんでしたが、今は日本だけが夫婦別姓を認めていないそうです。
そのため法律改正を望む声が多くあるそうですが、実現されていません。
日本で夫婦同氏が定められたのは明治民法が施行された明治31年からと言われていて、それ以前は夫婦別姓だったそうです。
古くからある決まりであるため、時代が変わったからといって簡単に変えられるものではないようですね。
日本で夫婦別姓で生きていくためにはどうしたらいいのかというと、方法は2つあります。
その一つが、「事実婚」です。
今の時代、婚姻届を出さずに夫婦のような生活をしていくカップルが増えてきました。
それが事実婚です。
事実婚の場合は、婚姻届のような届けが必要になるわけではないので、夫婦別姓で生活出来ます。
ただし事実婚の場合は、届けを出ていないからこそ夫婦として認めてもらえないというデメリットがあります。
婚姻届は出したい、でも夫婦別姓がいい、という人は、旧姓通称利用がいいかもしれません。
旧姓通称利用は、旧姓を通称として使用することや、それを業務等で認めることです。
ただし、旧姓を使える場所というのは決まりがあるためどこでも旧姓を使って生活出来るというわけではありません。
今現在、日本で夫婦別姓で生活出来るパターンはこの2つしかありません。
どちらの場合でもデメリットがありますが、それでも夫婦別姓を選択する人はいます。
メリットは?
夫婦別姓だとどんなメリットがあるのでしょうか。
1番大きなメリットといえば、「仕事に影響が出ない」ということだと思います。
現在夫婦別姓を望んでいる人の中には仕事をしている人も多く、名前を変えてしまうと混乱が起きてしまう可能性がある場合もあります。
姓が変わることによって書類や資料の書き直しをしなければいけなくなってしまうこともあり、他の会社との取引が多ければ多いほど姓に変更があることを報告しなければいけなくなります。
夫婦別姓にしていれば、これまでと同じく仕事を続けることが出来るので、面倒な手続きがいらないんです。
面倒な手続きといえば、保険証や運転免許証、クレジットカードなども姓が変われば変更しなければいけません。
どれも何日もかかる手続きではありませんが、一つ一つ姓の変更をしていくのって結構面倒くさいんですよね。
そして、「プライバシーの保護」です。
姓が変わることによって、本人の意思ではなくても自分が結婚したこと、姓が変わったことがバレてしまいやすくなります。
中には結婚したことを知らせたくない人もいるかもしれません。
しかし姓が変わることによって、そのような人達にまで自分の結婚が知られてしまう可能性が高いんです。
でも夫婦別姓であれば結婚したことがバレなくなるので、安心ですよね。
また、「自由でいられる」というのも夫婦別姓の魅力だと思います。
好きな人と一緒にいたいから結婚するという人でも、結婚したら好きな人だけではなくその人の両親や親戚も自分の身内になるわけです。
そのため「この家を守ってほしい」とか、「孫の顔が早く見たい」などプレッシャーをかけてくる人もいます。
夫婦別姓ならば、今現在結婚することが出来ないため、相手の家を守る責任もなければ、親のために子供を産まなければいけないということもありません。
パートナーがいても自由で生きたいという人も近年多くいます。
適齢期になったら結婚して女性は家庭に入り、子供を育てていくのが当たり前だった時代ではなく、今は夫婦の形はそれぞれあるという時代になりました。
だからこそ、夫婦別姓も「その夫婦の形」として受け入れてもらえたらいいですよね。
その他にも、慣れ親しんだ姓のままでいられる、姓が変わることによるアイデンティティの喪失を防げる、不公平感を解消できるなどのメリットが挙げられます。
デメリットは?
夫婦別姓のデメリットとして挙げられるのは、やはり「夫婦になれないこと」ですね。
今の日本ではどんなに頑張っても夫婦別姓を希望する以上書類上の夫婦になることは出来ません。
書類なんて関係なしに、愛し合っている2人が夫婦だと思っていればそれでいいのではないかと思う人もいるかもしれませんね。
確かに2人で「一生一緒にいよう」と決めたのであれば、周りがどうであれ関係ありません。
しかし、夫婦ではないからこそ不便に感じてしまうことは多々あるんです。
それが、書類上や金銭問題です。
事実婚の場合は、書類上2人が夫婦となっているわけではないので、どちらも未婚のままです。
病気になったり不慮の事故に巻き込まれて大変な手術をして、家族以外の面会が出来ないような場面の時、いくら自分が相手の家族だと言っても認められない場合があります。
病院の方もわざわざ戸籍を調べて家族かどうかを判断するわけではないのですが、戸籍上家族という繋がりがない場合の人を家族と判断したことによってトラブルに巻き込まれるのを回避したいんです。
その他にも、様々な場面で夫婦別姓であることを説明しなければいけなかったり、自分が相手と家族ではないということを突きつけられることがあります。
自分達の中では2人は夫婦だと思っていても周りから見たら夫婦として見てもらえないという状況を夫婦別姓を続ける限り耐えなければいけません。
保険などのお金の面も同じです。
生命保険に入っている人は、受け取りを誰にするか決めることが出来ますが、夫婦別姓の場合は相手を受け取り人に出来ない場合があります。
家族が受け取り人になることが多いのですが、夫婦別姓だと家族ではないので受け取りが出来ないんです。
家族ではないため、相続も同じく受け取ることが出来ません。
また、夫婦別姓の場合は子供が出来た時にも大きな問題が待っています。
まず子供が産まれてすぐにどちらの姓にするかを決めなければいけません。
いくら2人の子供であっても子供の姓は一つしか選べませんので、女性か男性どちらかの姓になります。
子供が大きくなるにつれて、子供と親の姓が違うことに違和感を感じてしまう子もいるかもしれませんが、その時に説明をして夫婦別姓を受け入れてもらえるかどうかは分かりません。
2人の子供だからといって両親の夫婦別姓という選択を受け入れてくれるとは言いきれないので、子供を持つのであれば夫婦別姓ではない方がいいのかもしれません。
家族ではなくても法的に有効と言われる書類を書くことで、家族と同じように待遇してもらえることはあります。
しかし書類を書けば何でも家族、夫婦として認めてもらえるというわけではありません。
そのため夫婦別姓だからこそ出来ないということは多くあります。
また、「女性は結婚したら男性の籍に入ることが当たり前」と言う時代を過ごしてきた人にとっては、夫婦別姓を受け入れられないことが多いです。
そのため「籍を入れた方がいい」とか、「夫婦別姓なんて得にならない」などというように夫婦別姓に対してあまりいい顔をしてくれない人もいます。
周りに「自分達はこれでいい」と言っても、全ての人が受け入れてくれるわけではありません。
でも受け入れられなかった人は、自分とは意見が違っていると言うだけで、どちらの考え方が間違っているということはありません。
夫婦別姓は、デメリットの方が多いのではないか?と思う人もいるかもしれませんが、夫婦別姓にしても夫婦同姓にしても、メリットとデメリットはあるものです。
例えば夫婦同姓の場合は、家族になれるというメリットがあるものの、すれ違いなどで離婚することになったら戸籍に残ってしまいます。
その点夫婦別姓ならば、相手と合わなくなって別れることになったとしても戸籍上残ることはありません。
何十年経っても、入籍をしない限り、あなたの戸籍は綺麗なままです。
夫婦別姓を実現させるためには
日本の法律では夫婦別姓が認められていないとはいえ、ここで諦めてしまったら夫婦別姓が認められる時代はやってきません。
そのため夫婦別姓を許可する裁判を起こしている人は少なくないんです。
夫婦別姓が裁判によって認められたというケースはありませんでしたが、このように「夫婦別姓を認めるべきだ」という声を上げることによって夫婦別姓を希望している人もしていない人も「夫婦別姓」について考えるチャンスになりますよね。
法律というものは、絶対に変えられないものというわけではありません。
特に明治時代に作られた法律の場合は、今の時代に必要のないことだったり、今の時代には合わないこともあります。
それを変えずに生活していると、夫婦別姓のように不便さを感じてしまう人もいるんです。
法律というものは、人々を苦しめるために作られたものではなく、人々がこの国で過ごしやすくするために作られたものなので、今の時代にその法律があるからこそ息苦しくなってしまうのであれば、どんどん変えていくべきです。
自分一人の力では法律という大きなものを変えることが出来ませんが、「夫婦別姓」に賛同している人の協力があれば法律を変えられるかもしれません。
法律を変えるためには、政治家の人達の力が必要で、政治家は夫婦別姓についてだけではなく国内外の問題について日々議論し決めているため、夫婦別姓の話し合いだけに集中させられません。
ここで沢山の人が夫婦別姓について考え直すべきだと声を上げたとしてもその法律を変えられるのは何年後、何十年後先の話になってしまう可能性もあります。
でもだからといって夫婦別姓について見向きもしなくなってしまえば、何十年後かの先でも夫婦別姓が叶えられなくなってしまいます。
これから先の未来、どこまで声をあげていけばいいかは分かりませんが、声をあげ続けることによって夫婦別姓という未来が見えてくると思います。
夫婦別姓が認められる世の中になるために、沢山の人に夫婦別姓という選択が出来ること、夫婦別姓にはメリットがあることを伝えていきましょう。
夫婦別姓もアリ?
夫婦別姓について紹介しました。
夫婦別姓について詳しく知らないという人が多い世の中だと思いますが、夫婦別姓にはメリットがありますし、夫婦別姓になったからといって家族ではない、愛し合っていないというわけではありません。
姓が違うからといって、気持ちも変わってしまうなんてことはありませんよね。
血の繋がりのない家族もいるんですから別姓の人達がいても「家族」と呼んでいいと思います。
今現在、夫婦別姓に興味がある、または夫婦別姓の生活をしようとしているという人は、夫婦別姓が認められる日本になるように日本を変えていきましょう。
「周りは夫婦別姓に賛成ではないから」と遠慮してはいけません。
例え周りに味方がいなかったとしても、あなたが「夫婦別姓を認めるべきだ」と声を上げるのは、間違ったことではありません。
あなたと同じように夫婦別姓で生活をしている人がいます。
あなた達だけが夫婦別姓になっているわけではないので安心して下さい。
近い将来、夫婦別姓が認められて多くの人が夫婦別姓を選んだとしても、「そういう方法もある」ということを日本の誰もが認められる世の中になるといいですね。
「こうするべきだ」と1つの正解しか出せない日本になると、人それぞれの気持ちが壊されてしまうだけで、誰もが魅力のない人になってしまうと思います。
もちろん「こうするべき」というものがあった方がいいこともありますが、夫婦別姓のように色んな形があっていいというものに対しては縛り付けずに自由な世の中になるといいですね。
そんな世の中になれば、一人一人が住みやすく気持ち良く生活出来るのではないでしょうか。
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