この手紙は結婚の三週間ほど前に書かれたもののようで、文面を見れば結婚の喜びに満ちているようなのです。
(長いため中略しましたが、実は間にたくさん結婚についてのことが書かれています。)
しかし実際、ふたりとも結核という病魔と戦っており、さらに千代は結婚は医者からやめなさいと言われていた身だそう。
そのために最後、「子供など出来なくっていいんだよ。子供の分も千代を可愛がる。」と言っているのですね。
参考書籍の解説を読むに、千代への思いは切実で痛みを伴うものです。
"その千代が、三十一年2月、胃癌を宣告された。十八年間の課程生活があっても、入院中の妻との手紙のやりとりは、充分ラブレターだった。「ヤセテもヤセテも大好きな千代ちゃん、千代 千代 千代!」と。作品は妻との合作だと思っていた彼は、彼女へのプレゼントのつもりで、全六巻の作品集の刊行に全力を尽くしていた。その途中で妻は逝った。彼は墓碑銘を考えた。「愛し合って二人は一人の人となった……」。二人の名の下にガーベラの花二輪を彫ろうと。"出典:
いかがでしたか。
恋文にあらわれたそれぞれの恋の形は、その読み手にとって感じ方が異なります。
どうしてこの言葉がこんなに胸を打つのだろうと考えると、結局のところ最後まで「誰かを愛しぬく」というのはこういうものなのかと、私は感じ入らずにはいられません。
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