▼以下、訳
風花雪月などの美しい景色さえ、今の私の心に訴えるすべを知らないでしょう。
こうして逢引きをし、互いの運命のあり方をなぐさめあっているのだから。
互いに愛を囁き合って、この愛を患う胸の内をさらけ出したけれど、もう別れの刻限が迫っているようです。
たったこれだけの、二人だけしか知らない秘密のようなものだけれど、
見えた山河にだけは、二人で語り合った永遠の誓いを立てましょう。
※私語…愛のささやき
織女惜別 直江兼続
二星何恨隔年逢今夜連床散鬱胸私語未終先洒涙合歓枕下五更鐘出典:http://kanshi.roudokus.com/syokujyo-kanetsugu.html
▼以下、訳
一年に一度しか会えない運命を、織姫と彦星は恨んだことがおありでしょうか。
こうして久しぶりにあなたと会い、枕を寄せあいながら、会えなかったあいだの思いを重ねて
こうして愛を囁いているというのに、目からは涙がぽろぽろと溢れてしまっています。
まだこうして心を通わせあい、肌を触れ合わせているというのに、もう夜明けを知らせる鐘の音が聞こえてくるなんて。
※連床…寝床を並べて
※合歓…男女の交わり、睦み合い
武将とは思えないほどの美しく繊細な恋心が見え隠れしています。
漢詩の中の男女のあり方があまりに健気で、兼続の人となりが思われます。
艶っぽい表現があってもそれがどこか切なさを帯びているのは、その健気さのせいなのでしょう。
夜雨寄北 李商隱
君問歸期未有期、巴山夜雨漲秋池。何當共剪西窗燭、卻話巴山夜雨時。出典:http://www5a.biglobe.ne.jp/~shici/shi4_08/rs404.htm
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