勘定時の正しい言葉
では次に、じゃあ勘定の場面では一体どんな言葉が適切なのか、「おあいそ」以外に言葉で良い言い回しがあるのかについて触れますが、あまり難しく考えないで下さい。
では具体的にですが、やはり単純に「お勘定」がそのままの意味でもありますし、何処でも使いやすい事から客側として言いやすいので、最もお勧め出来る、それでいて正しい言葉となるでしょう。
ただしこの言葉は、印象的に少し古くさい感じが否めないところがあって、使う人か使う場所などを選ぶと言えます。
例えば女性がこの言葉を使ってしまうと、何となく男勝りのような、女性らしさに欠けるような、そういう印象を連れの人に与えてしまう可能性があるのです。
それは偏見なのかもしれませんが、そういう印象を抱かれてしまうのが事実である事から偏見も何もありませんし、結局上っ面だけ良くされても頭の中でそう思われているなら同じなのです。
さらに、場所にあっても高級フレンチ等の「日本以外」の料理を出すところには不向きで、やはりなんとなく場にそぐわない感じが見受けられてしまいます。
これが高級でも料亭などであれば、勘定という台詞でも何となく違和感は感じられないのですが、やはりそれはその国で生まれた言葉である為にしっくりくるのでしょう。
だから勘定という言葉に関しては、使う人や場面を考慮するようにして、さらに出来るだけ日本の要素が強い場所で使用する方が良いかと思います。
次に「お会計」です。
これはまさに何処でも使える、そして意味が通じる事からとても汎用性の高い言葉だと言えて、しかも女性が使うことに何ら違和感、そこはかとなく気品も感じられるでしょう。
実は精算の際というのは、かなりの割合で「なんて言っていいのか困る」と言われる人が、案外少なくありません。
「すいませーん」と言いつつ請求書をひらひらさせたり、単純にニュアンスで伝えようとしたなど、日本人ってあからさまに大声で精算しようとするのを躊躇う気質があるのです。
しかしこの「お会計」は、何処でも問題なく且つ言う分にもハードルが低く、誰でも気軽に言うことが出来るでしょう。
最初から使えばいいと思うかもしれませんが、その時になると案外その文言が出てこないとか、言葉をうっかり忘れてしどろもどろになるなど、よくあるのです。
最後は「チェック」ですが、これはほんとにオシャレですね。
だから「勘定」と反対の位置にあるとも言えて、勘定と同じく人と場所を選ぶ性質がありますので、その見極めが重要となるでしょう。
別に、極端な話どこで使おうが咎められる筋合いはないのですが、例えばビシっと決まったスーツを来た髪型もきちんとしている男性が、キリリと個人居酒屋の店主のおじさんに「チェックで…」なんてどう思います?
別に問題はない!と思うのかもしれませんが、やはり似つかわしくない、これも偏見なのかもしれませんが場にそぐわない…そういう印象になるのではないでしょうか?
まあだからと言ってそこでチェックと言うのはやめろと言う訳でもないのですが、やはりオシャレなフレンチなどのそういう店の方が、チェックは映えると思うのです。
また、単に「ごちそうさまー」とか「ありがとさーん」なんて、ざっくりした精算を促す言葉もあるようです。
これらは基本的に男性が使うのですが、「ごちそうさま」であったり「ありがとうございます」ときちんと固めに言い直せば、女性でも気軽に用いることが出来るでしょう。
意味は通じるの?と疑問に思われるかもしれませんが、ほぼほぼ大丈夫ですのでそこは考えなくても問題ありません。
しかもお礼を重ねていますので、お店側も悪い気はしないでしょうし、「おあいそ」のような間違いも一切ありませんので、これも汎用性としてはかなり高いものと思われます。
まあ結局のところ、「おあいそ」でなければどれも正しい、語源的に「おあいそ」だけが誤っているだけの話で、その他であれば特に気にせず精算時に言ってもそう差し支えはありません。
場にそぐうそぐわないがあるかもしれませんが、それも個人の裁量の内ですので、人に咎められてシュンとなる代物でもなく、そこは自由にやっても良いのです。
あまり堅苦しくなると、それこそ精算時に何も言えなくなりますので、きちんとその言葉を理解した上でお店側に言うのなら、その気持ちはきっと伝わるものかと思われます。
よくある誤用の場面
ここまで読まれた人であれば、「おあいそ」が如何に誤った運用をされているか、そしてそれはどのような誤りなのかはおおよそ見当が付くと思いますが、一応はここでご紹介しておきます。
・「おあいそして下さい」
これが完全に誤りなのは、ここまでをご覧の人であればお分かりいただけるかと思います。
「おあいそ」が「愛想が尽きた」ことから、客側が店側に対して「愛想が尽きて下さい」と懇願している訳ですから、お金を払っている立場なのに意味不明です。
ざっくばらんな言い回しである「おあいそ」を、わざわざ上品に言おうとして失敗するという何とも救えない例ですので、特に丁寧にしたがる女性は注意をした方がいいかもしれません。
・「大将!おあいそ!」
これも寿司屋などにおいて、男性が通ぶりたいと失敗する典型的な例なのですが…上記と同じく店側に言っていることから、やはり店側に対して「自分に向けて」愛想を尽かせてほしいと言っています。
特に寿司屋などの「如何にも日本」なお店は、そういう言葉の由来を知っているケースがあると思われますので、裏手で大笑いされているかもしれませんよ?
・「おあいそ」
まさにただの単語、通ぶろうとした極地なのか、もはやこれでは何を言っているのか分からない例です。
略せばいいってものではなく、しかもこれまでの通り誤った使い方であるため、もうただ単に愛想が尽きたとしか言っておらず、全くもって意味不明です。
丁寧語、謙譲語などに言い回せば幾ばくか可愛げがあるのですが、ただ一言「おあいそ」では店側も乾いた笑いしか出ないと思いますので、これはやめておいた方がいいでしょう。
何でも略したり、愛想なしで言うのが格好いい、通のように見える、イカしているという訳ではないのです。
そこでも愛想なしでは、客側も店側も愛想がなくなって、一体何をしに来たのかが分からなくなってしまいます。
無理に「知ってる感」を出さない
「おあいそ」と言うと、あたかもそういう店を普段からよく利用している、そういう店を知っている、そこの顔なじみなんて印象を受けてしまいがちです。
「ありがとう」とか「御馳走様」ですと、まさに一見さんのように見えて格好悪い…なんて思った末、「おあいそ」を使ってみようと思ってみたのではないでしょうか?
女性であればそのような気持ちはそれほど強くないと思われますが、男性ですとデートなんかで良いところを見せたいが為に、不慣れな場所で「おあいそ!」なんて言ったことがあるのではないでしょうか?
残念ですがそれは間違いなんです。
もしそれがデートとして、彼女が「おあいそ」の由来を知っていたら、大恥をかいてしまいかねませんので、やめるに越したことはないでしょう。
変に背伸びをせず、きちんと正しいお礼を言える人の方が、その場で適切な言葉を選べる人の方が、よっぽど素敵だと思います。
まあ通ぶる気持ちは分からないでもありませんが、言葉の意味が分かればお店に「おあいそ」を使うのはただの侮辱となりますので、デート云々だけでなくそういう意味でも十分に注意しましょう。
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