みなさんも「トロッコ」や「羅生門」などを一度は読んだことがおありでしょう。
私が好きな読み物の中に、芥川龍之介の手紙があります。
貰ひたい理由は たった一つあるきりです。さうして その理由は僕は 文ちゃんが好きだと云ふ事です。勿論昔から 好きでした。今でも 好きです。その外に何も理由はありません。僕は 世間の人のやうに結婚と云ふ事と いろいろな生活上の便宜と云ふ事とを一つにして考へる事の出来ない人間です。ですから これだけの理由で 兄さんに 文ちゃんを頂けるなら頂きたいと云ひました。さうして それは頂くとも頂かないとも 文ちゃんの考へ一つで きまらなければならないと云ひました。出典:http://www.ichinomiyakan.com/akutagawa/000.html
この部分がなんとも好きなんです。
彼女のことを本当に愛しているという様がありありと見えますよね。
さて、話を戻して奥ゆかしい表現のご紹介です。
「片時もあなたのことを忘れたことはございません」
「片時」という表現は決して今は忘れられたような表現ではありませんが、少々言葉を選ばないと出てこない言葉であることは間違いないでしょう。
「いつも●●くんのことを考えているよ」というよりは、「片時も忘れた(思わなかった)ことはないよ」と言われる方が、より奥ゆかしさを感じられます。
「片時もおそばを離れません」など「片時」という言葉だけでも応用が効くのでぜひ使ってみてくださいね。
「あなたとお会いできるこの日を心待ちにしておりました」
「今日めっちゃ楽しみにしてたんだ~!」というところを、「今日この日を心待ちにしていました」と悪戯な笑顔で言って見せてやるのはどうでしょうか。
普段聞き慣れない言葉が人の胸を打つということはよくあります。
それはその言葉の持つ「特別感」が関係しているのでしょうか。
「夜もすがら、あなたのことを考えておりました」
「夜もすがら」今でも時折使われる言葉ですね。
一晩中思いを巡らせても足りないほど強く惹かれる恋であれば、成就させたくなるのが道理でしょう。
ふつうそばにいる人について考えを巡らせませんから、閨(ねや:寝室のこと)で過ごした男女からは程遠い言葉です。
「この気持ちが移ろうはずがありません」
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