現在の結婚式事情を見ると、挙式と披露宴の会場が同じ敷地内であることが多く、移動する手間も省け挙式から参列されていた方々もゆっくりと時間まで休めるようになりましたので、オールインワンのスタイルはありがたいですね。
さて、挙式は【結婚の儀式】でしたが、披露宴は【より多くの人に結婚を認知してもらうための宴】となります。
ホテルで行われているブライダルフェアに参加すると…
・食事をもう少し豪華にしたい
・テーブルの花をもっと多くしたい
・ケーキを大きくしたい
・キャンドルサービスがしたい
・お色直しも洋装と和装と2回したい
・引き出物は?招待状の紙質は?ビデオや写真は?と限りなく欲が出てくるのです
披露宴会場を見ても、小さい部屋より天井が高くて大きな部屋を選びたくなるし、テーブルや椅子、クロスをどんな感じにするか、ピアノやカラオケをいれるのか等、迷い始めたらキリがありません。
余興もたくさんやってほしい、スピーチもたくさんお願いしたいと企画し、時間を2時間から2時間半、3時間と延長し、予算が倍になるケースも少なくありません。
ここで二人の価値観の違いがはっきりと見えてしまい、お互いに不信感を持ち、最悪は破談になることもありますし、女性はマリッジブルーになってしまうケースが多いのです。
私は披露宴の司会者をやっておりましたので、迷ってどうしたら良いのか分からなくなり、私の前で大喧嘩を始めるカップルを何度も目にしました。
140名の招待者がいる豪華結婚式も有りましたし、30名程度のこじんまりとした披露宴もありましたが、出席者やお一人辺りの予算が多いほど心に残る披露宴であったとは思えませんでした。
ポイントは、【披露宴をなんのために行うのか】【招待者に何を伝えたいのか】【身の丈に合った結婚式なのか】を明確にすることだと思います。
会場として考えられるのは…
・結婚式場の披露宴会場
・ホテル
・レストラン
・ゲストハウス
・ライブハウス
・公民館など公共施設
お二人の予算に応じ、会場と挙式の組み合わせをしていくことになります。
ご両親の希望をうかがうと『変わったことはせずに、ホテルや結婚式場で挙式から披露宴までを普通にやってほしい』とおっしゃる方が多いのですが、結婚式は親離れ子離れの儀式でもありますので、二人の総意で作り上げていただきたいものです。
印象に残っている結婚式をご紹介したいと思います。
【予算】150万円(挙式費用・レンタル衣装代・新婚旅行費用・ご両親の行きの旅費と式前日、当日の宿泊代および3日目からそれぞれに企画した旅行を楽しむための資金として両家に10万円ずつの旅費・レストランパーティー費用・招待状・挨拶状等)
【コンセプト】両親に感謝を伝え、記憶に残る時間にしたい
【形態】北海道の教会での挙式および両家での食事会・新婚旅行
前日に両家家族で北海道に行き、現地では衣装会わせ・リハーサル等行った後、家族単位で自由行動をされたそうですが、新郎は親と弟と何を話したらいいかと心配していたのに、お母様のテンションの高さに巻き込まれ、子供の頃に戻ったように皆でワイワイガヤガヤ大騒ぎで函館市内を観光したそうです。
『親の顔をこんなにじっくり見たのはいつ以来だろう、と思い出せないほど、両親とはゆっくり話をしていなかったと思います。母があんなにはしゃいでいるのを見たのも初めてかもしれません。本当に貴重な時間でした。』と新郎は感慨深げにお話して下さいました。
翌日午前中に教会での挙式:参列者は家族
昼食をホテルのレストランに、家族だけの結婚披露宴であることをお話され、フルコースのメニューをオーダーされたそうですが、レストランのはからいでお花を新婦とお母様方にプレゼントしていただき、前日の自由行動の話や夜話した内容などで、両家のご両親同士の話も盛り上がったそうです。
その後お二人は新婚旅行に出掛けられ、両家のご家族も3泊4日の旅行を楽しまれて帰宅されたそうです。
私がお話をさせていただいたのは、その後のレストランパーティーの司会を担当させていただいたときですが、結婚式前夜はホテルの同じ部屋にご両親と弟さんと新婦様が一緒に寝られたそうですが、家にいるときと違い何もすることがないので早くから4人で枕を並べ、子供の頃からの思い出話や、ご両親の結婚の話などを深夜までされていたそうです。
『大人になってからこんなに長い時間、両親と一緒に居たことがなかったので、父が「ありがとう」と言ってくれ本当に良かったと思いました。』と涙ぐまれ、私ももらい泣きをしてしまいました。
レストランでのパーティーは、職場や学生時代のご友人のみ招待され、会費制で行われました。
ここでは北海道での挙式と食事会の動画と写真を流したり、音楽関係の仕事をされているご友人の演奏や歌で大変盛り上がりました。
印象的だったのは、挙式後の集合写真ですが、両家のご両親の顔が晴れ晴れとしていて新郎新婦より楽しそうで、お子様方を誇らしく思っていらっしゃる気持ちが伝わってきました。
お二人の【両親に感謝を伝え、記憶に残る時間にしたい】という願いは充分に叶えられたと思います。
披露宴もお二人の人柄が良くあらわれた、明るく優しい想いに満ちたもので、その後たとえお二人に辛いことがあっても、このご友人方がいれば大丈夫だと思えました。
其々の職場上司には、二人がたくさんの年輪を刻めるように願いを込めて、バームクーヘンを持って挨拶に行かれ、新郎は尊敬する上司に婚姻届の保証人になっていただいたそうです。
お二人は【ここでは誰にたいしてのお礼なのか】を明確にし、丁寧に対応出来ていたことにより、皆さんがリラックスした中で満足感を持てる挙式・披露宴にできたのではないかと思います。
心に残る挙式・披露宴とは
結婚が決まった皆様はすでにたくさんの情報をもっていらっしゃり、既に色々お考えでしょうが、もし煮詰まったときに思い出してください。
たくさんの人を招待して一人辺り4万円5万円の予算で振る舞って何度お色直しをしても、それを見て満足するのは両親とお二人、いえ、もしかしたら新婦だけかもしれません。
招待した人々とのご縁をこれからも大切にするための披露宴だということを忘れないでください。
自分たちを育ててくれた両親や関係者の皆様への感謝の気持ちを忘れず丁寧に考えていけば、挙式・披露宴の大小にかかわらず、心に残る結婚式になることは間違いありません。
結婚式の司会をやっていて本当に心に残った披露宴は、招待客一人ひとりを傍観者にしない披露宴でした。
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