妊娠って、迷惑ですか?
あなたは子どもが欲しいと思いますか。
妊娠することは悪いことだと思いますか。
きっと、多くの人が悪いことではないと答えると思います。
もしくは条件付きで悪くないと答える人もいるかもしれませんね。
人に迷惑をかけなければ悪くない、と。
では、どういった場合が“人に迷惑をかける妊娠”なのでしょうか。
職場という社会においての妊娠・出産・子育て
つい先日、こんな話を耳にしました。
職場で子どもがいる女性は、毎日のように早退をする。
子どもが熱を出したり、ケガをしたりケガをさせたり、毎日いろんなトラブルがあってそれを理由に午後から帰って行ってしまうと。
そのカバーをしなければならないために、自分は遅くまで残業をしなければならず、毎日疲弊して仕方がない。
子どもを盾にしてラクをしているようで気分が悪い、ストレスがたまる、ということでした。
その話をしてくれた彼女は、確かに連絡してもほとんど空いている日がなく、なかなか会えない子でした。
聞けば毎日遅くまで残業をしているけれど、それにしても残業代は決まった分しか出ないとのこと。
でも、その子どもがいる女性が早退するせいで、その穴埋めをせねばならず、どうしても早く帰れないと言っていました。
そこまで聞いていたわたしの率直な感想は、子どもってよく熱を出すし、ケガもする。
体調が悪い日だって多いし、そうなれば集団感染を防ぐために保育園や小学校も親を呼ばざるを得ない。
子どもがいる女性が早退するのは仕方ないことではないか。
彼女はそれに対して、早退するのは仕方がないことであって、子どもがいる女性のことを本当に憎らしいと思っているわけではないと言いました。
子どもが熱を出すことも仕方ないし、子どもにはよくありがちだと。
もちろん、多少の恨み節はあるのでしょうが、本当に憎いのは管理職の部長だとも言ってくれました。
聞けば、部長はその子ども持ちの女性に優しく、仕事を独身の彼女に全部振ってくるのだそう。
その理由はといえば、いまはマタハラ・パワハラと叫ばれる時代で、少しでも子どもがいる女性のことを邪険に扱うようなマネをすれば自分の昇格が危うくなるからではないかと彼女は言います。
また、部長自身も子どもがいて、その女性とは子どもの話で盛り上がり、仲も良好だとのこと。
これには私も確かに首をかしげざるを得ませんでした。
この場合は管理職が仕事の分配を適切にせねばならず、彼女にだけ仕事を任せてあとは知らん顔、というのは許されざる事態です。
それでは管理職としての仕事を遂行していないことになります。
ただ、彼女にとっては身に迫る問題で、ここで管理職の無能をなじったところで何の解決にもなりません。
きっとその管理職は、管理職の存在意義をはき違えているのでしょう。
しかし、その割を食うのが彼女だけというのは納得いきませんよね。
もし自分がこの立場であったら、どうしますか。
きっとこの部長は、真正面から話し合いをしても状況を変えてくれないでしょう。
となれば、もっと上の人間に直談判するか。
そうすると部長に話が下りて行って、余計に仕事がしづらくなるのではないかと思う人もいるかもしれません。
八方ふさがりのように感じますよね。
このような事態は、実は彼女のところだけで起きているのではありません。
私の友人は、妊娠中の女性から仕事を押し付けられて、苦しんでいると言っていました。
つわりや体調不良などで出社が遅れたり、当日急に欠席したりして会議や打ち合わせが進まない。
それが悩みだと言います。
確かに、女性の妊娠、出産は命がけのものであって、それにまつわる体調不良も言ってしまえば当たり前のことです。
子どもがお腹の中にいるのですから。
ですが、それをフォローできる体制がないと、私が話を聞いた二人の女性のように苦しむ人がいます。
まして、いまは前代未聞の人手不足。
それと同時に女性の活躍を!といって妊娠や出産を経ても働くように、家事と育児と仕事の両立をするようにと政府が言うのですから、現場レベルでこうした歪みが出てきてしまうのです。
こうした歪みを経験した人が増えてきたのが今の日本。
そんな人たちが女性の妊娠を疎ましく感じてしまうのは、少し仕方のない部分もあると思います。
もちろん自分が妊娠したことを機に、「あのときは悪かったな」と思い直してくれる人もいるかもしれませんが、男性や子どもを作らない選択をした女性はずっとその理不尽を経験していくわけですから、余計に納得いかないですよね。
それが疎ましさへとつながっていくのです。
妊娠した女性は社会で必要ないのか
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