劣等感からのせめてもの抵抗
もし相手が自分よりいろいろな面で勝っている、また勝てるところが一切見当たらない場合、一般的な感覚であれば素直に「すごい人」とか、「尊敬できる人」と評価します。
自分に備わらなかったものをいくつも備えていることから、当然それ相応の才能とか努力があった訳で、そこは認めなければならないところなのです。
ですが、揚げ足取りの場合はそれに当てはまらず、そういう相手に対して劣等感を覚える、またはとても悔しい気持ちになることが多いようです。
自分よりあらゆる面で上回っていることが許せず、それによりどうやってその相手より上に立つか、また何かで上回れないかというみっともない画策をするのです。
しかしその相手が自分よりあらゆる面で上回っているため、正攻法で上に立てる要素が見当たりません。
下手に自分の方が上と示そうとすると、相手があらゆる面で勝っていることから、みじめな結果にしかならない可能性がとても高いのです。
そこで揚げ足取りです。
とても優秀な人だって、人間なんですから多少のミスはありますし、ミスがない人間なんていないことから、それは「いずれある」「必ずあること」ですよね。
揚げ足取りはそれを待って、いざその相手が何らかのミスをした場合、徹底的に揚げ足を取って「優秀なヤツが失敗した」と評して、相対的に自身の優位性を高めようとするのです。
しかも相手のミスは間違いなくそこにあって、それを突くという作業なだけですからリスクもなく、お手軽に相手を下げるという、揚げ足取りにとってメリットしかありません。
ですがこれだけだと、前項の心理的優位に立ちたいと同じことになりますが、この場合はさらに付け加えられる部分があります。
それは、相手が自分よりあらゆる面で上回っているのは事実であり、そこは内心認めるところがありつつもそれが悔しいので、そんな揚げ足取りで溜飲を下げているという面もあるのです。
揚げ足取りは変にプライドが高いところがあるため、本当の優秀というのを目の当たりにして穏やかでなくなり、せめてもの抵抗で揚げ足取りをするのでしょうね。
あまりに情けない心理ですが、揚げ足取りの本質なんてこの程度です。
自ら努力をして、実力で相手を上回った上で揚げ足を取るのなら、発言こそ問題があるものの、周囲は「この人が言うんだから仕方がない」となります。
ですが決して自ら努力することなく、相手を陥れるとか蔑んで「相対的」に自分の評価を上げようとするなんて、周囲から見ても無様でしかないのです。
そんな行動を続けていても優秀な人は優秀な人なんですから、揚げ足取り程度でそれが揺るいでしまうようなことはなく、単に揚げ足取りの評価を下げてしまうだけと当人は気付いていません。
単純にバカにしている
ここまでで揚げ足取りは、揚げ足を取る何らかの理由や、それをしなければならない心理的状況があったことが伺えますが、そういったものがなくても揚げ足取りをするケースだって少なくはありません。
些細なこと、たまたま目に付いたミスを掴まえては、それをわざわざ周囲に分かるように振りまいて、揚げ足を取った相手の立場を落とそうとしているのです。
要はこれ、相手を単純にバカにする目的で揚げ足を取っていて、揚げ足取りのその性格の悪さやねじ曲がった考え方がよく理解できると思います。
別に揚げ足を取った、また取ろうとしている相手が嫌いな訳ではなさそうです。
「人を小馬鹿にする」というのは、その相手が嫌いでなくても一般的に行われていること(やってはいけませんが)ですし、揚げ足取りの場合はそれが揚げ足という形なだけです。
なので、別にその揚げ足に意味がないことがほとんどなのですが・・・言われる方は傷付きますし、人の気持ちを考えられない時点で揚げ足取りの程度なんて知れたものです。
なお、バカにするという目的も当然あるのですが、このケースの揚げ足取りは別の意図がある、または隠し持っていることがあります。
それはまず、このケースの揚げ足取りの標的になる人というのは、普段からちょっと鈍い人だったり、仕事ができないとか勉強ができないなどの、カーストにおける「下位」が選ばれることが多いようです。
そういう人をバカにする目的で揚げ足を取って、前述にもある自分の優位性を示しつつ、さらに「周囲にも」その揚げ足を取った人物よりも、自分の方が立場が上だと誇示しているのです。
簡単に言ってしまうと、自分が標的にされたくない「小学校にいるいじめっ子の取り巻き」みたいな感覚です。
いじめっ子の取り巻きは、自分がいじめの標的にされるのが怖いからいじめをしている節もあって、揚げ足取りの行動はほとんどそれと変わらないのです。
いえ、例えのいじめっ子の取り巻きが小学生であることから、成人で同じようなことをしている分、揚げ足取りの方がもっと性質が悪いと言えるのではないでしょうか?
どちらにせよ、その考えが人としての器の小ささや矮小であるのはこれまでと同じで、この場合はそれに加えて臆病だったり恐れだったりが見えて、逆に気の毒に思えます。
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